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「不動産業界を変える」And Doホールディングスが掲げる情報の透明性、持続的な成長を続けるための経営戦略とは

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不動産業界は、景気変動や自然災害など外部環境の影響を受けやすいと言われる業界です。そうした中で、情報の透明性を高め、顧客との信頼関係を基盤に成長を続けてきた全国に「ハウスドゥ」ブランドで不動産フランチャイズを展開するAnd Doホールディングス。「不動産業界を変える」という創業時からの思いのもと、保有する情報を可能な限りオープンにし、顧客が納得して選択できる市場づくりに取り組んできました。

同社が重視するのは、短期的な成果にとらわれない中長期視点での経営判断と、複数事業によるリスク分散です。フランチャイズ事業や不動産売買、金融を組み合わせた事業などを通じ、外部環境に左右されにくい経営基盤を構築すると同時に、人材育成にも力を注いでいます。理念や価値観を全社で共有することを大切にしています。

また、取締役会を単なる承認の場ではなく、経営の質を高めるための議論の場と位置づけ、社外取締役の視点を取り入れた多角的な意思決定を実践しています。その運営を支える仕組みとして導入された「Governance Cloud」。取締役会に関わるすべての情報や業務を一元化することで、取締役会運営の効率化と情報の質の向上を実現し、より本質的な審議に時間を割ける環境を整えています。

本記事では、同社がどのようにガバナンスを経営の基盤として位置づけ、事業の持続性と企業価値向上につなげているのか、株式会社 And Doホールディングス 執行役員 経営企画部長 花谷 清明氏と総務部 制度企画課課長 國吉 沙紀氏に伺いました。

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インタビュー登場者

  • 株式会社 And Doホールディングス 執行役員 経営企画部長 花谷 清明氏
  • 株式会社 And Doホールディングス 総務部 制度企画課課長 國吉 沙紀氏
    ※所属、役職は取材当時のものです。

Q. 御社の経営方針(パーパス、ミッション、バリュー等)、経営上大切にされていることを教えていただけますか?

花谷氏「当社は「お客様の豊かさ、社員の豊かさ、社会の豊かさを常に創造し、末永い繁栄と更なる幸福を追求します。」を企業理念に据え、持続的な企業価値向上を経営の最重要テーマとしています。そのために、健全なガバナンス体制の構築、透明性の高い経営、株主・顧客・従業員・地域社会といった多様なステークホルダーとの信頼関係を重視しています。
また、不動産業として中長期的な視点での経営判断が不可欠です。短期的な成果だけでなく、事業の持続性やリスク管理、人材育成を含めたバランスの取れた意思決定を大切にしています。」

Q. 不動産業における「事業の持続性やリスク管理」とはどのようなことを指すのでしょうか?

店舗のイメージ

花谷氏事業については、情報をオープンにするという透明性を重視しています。
不動産業と一口に言っても種類は様々です。住宅を取り扱う場合もあれば、賃貸管理をしている不動産会社もあります。当社は個人住宅の不動産の売買仲介を中心に、今は全国で730超のフランチャイズを店舗展開しています。
不動産業界というと、今でもあまり良いイメージをお持ちでない方も少なくないのではないかと思います。
住宅購入は個人のお客様が一生で一度や二度ぐらいしか携わらないような高い買い物です。

それにもかかわらず、創業経営者の安藤が不動産業に携わり始めた頃は、お客様は不安を抱えて不動産会社の扉を叩いている状況でした。今では様々なポータルサイトがあり、お客様が情報にアクセスしやすくなってはいますが、それでもすべての情報がオープンになっているわけではありません。特に昔は不動産会社が持っている情報をお客様に全部出してくれないという傾向がありました。
そこで、創業者の安藤は持っている物件全部をお客様に見せて「好きなものを選んでください」と提案しました。結果、お客様より「安藤さんはたくさん情報を持ってるね」と喜んでいただくようになりました。実際は不動産会社として持っている情報をすべてオープンにしていただけなのです。
我々が「不動産業界を変える」と取り組んでいるのは「もっともっと情報をオープンにしていこう」ということです。お客様に選んでもらいやすい、オープンな市場にしていきたい、安心して不動産を購入したり、売却できるようにしたいという思いでこの事業をやっています。
その考えに基づき、事業展開を進めてきました。始めは、直営店で店舗を拡大していましたが、アメリカの不動産業界を参考に、フランチャイズの形式を日本に取り入れていきました。当時、不動産賃貸のフランチャイズはたくさんありますが、不動産売買の仲介を行うフランチャイズはほとんどありませんでした。
20年ほど前から不動産売買の仲介をするフランチャイズを始めたのですが、フランチャイズで店舗展開するにあたっても情報をオープンすることは、非常に重要視しています。
一方でリスクというと、不動産業は自然災害や景気などの外部環境の影響を受けることもあるというところです。経営の観点からいくと、外部環境に左右されにくい財務体制や経営基盤を構築する必要があると感じています。バブルやリーマンショック、コロナのときも、一時的に不動産価格がかなり下がったこともあるので、そういうときにいかに乗り切るか、リスクヘッジして経営していくことは非常に重要なところかと思います。
当社グループでは、複数の事業を展開しポートフォリオを構築することでリスクヘッジしています。フランチャイズや不動産の売買事業、不動産と金融を組み合わせた事業等ですね。複数の収益の組み合わせで、収益を上げていく体制を構築しています。
今は売買事業が非常に伸びていますが、市況が良くないときは、保守的なポジションを取っていました。こういった経験から、同じ不動産業の中でも複数の事業を行いリスクヘッジすることは大切だと感じています。」

Q. 上場企業だからこそ、安定した成長を求められることもあると思いますが、どのような考え方で運営されていますか?

花谷氏当社は創業者がバブル後に創業し、リーマンショックを経験しているため、リスクに対して非常に敏感に市場の動向や変化を見ています。全国の加盟店を通じてお客様の動向がわかるので、市況に関するジャッジは敏感であると思います。」 

Q. 人材育成の考え方を教えてください。御社が目指す人材モデルはありますか?そのための育成方針、プログラムの特色を教えてください。

花谷氏「当社事業において人材は極めて重要と考え、人材育成に力を入れています。積極的に新卒、キャリア採用も行っていますし、社内でも様々な研修、教育に注力しています。また、理念浸透のために、各拠点の朝礼で経営計画書の読み合わせをしています。
経営計画書には安藤の創業からの思いや、他の経営者の本から引用した内容があります。安藤が持つべきだと考える価値観、考え方を各事業の事業方針を含めて、朝礼の中で毎日読んでいます。グループの理念と照らし合わせながら、理念・価値観の教育を行っています。 これは私が新卒で入社して20年以上経ちますが、入社当初から行っていましたね。」

Q. 御社には弁護士、会計士に加え、金融機関経営経験のある方など錚錚たる社外役員がいらっしゃいますが、それぞれどのような意見が出ることが多いでしょうか?

花谷氏「不動産業界に直接的に関わっている方ばかりではないのですが、それぞれの専門性、あるいはこれまでの経験に基づく非常に有益なご助言やご指摘など活発にご意見をいただいています
ご経験豊富でネットワークも多くお持ちの役員様もいらっしゃいますので、事業的な観点でのご意見や、事業に有益な人脈のご紹介もいただいています。また投資家の視点でのご意見もありますね。」

Q.ガバナンス、取締役会等役員会運営において重視されていること、気を付けていらっしゃることを教えてください。

花谷氏「取締役会は、単なる承認機関ではなく、経営の質を高めるための議論の場であることを重視しています。当社の役員構成は社内役員が多く、議論が事業判断に偏らないよう、社外取締役の視点を活かした客観性・多角性の確保を常に意識しています。
また毎月開催という頻度の中で、限られた時間を有効に使うため、議論の前提となる情報の質や、論点整理の精度にも注意を払っています

國吉氏論点整理の精度を上げるために、議案には決議をいただきたい点を明確に書くようにしています。またGovernance Cloudを使うことで、事前に役員の皆様がどこにいらっしゃっても議案を確認していただけるようにしています。役員会への情報共有は、Governance Cloudに一本化しています。
社外取締役の方からは事前に議案を確認いただき、不明点があれば当日ご質問をいただくことが多いです。」

花谷氏「日常的に業務に携わらない社外役員の方にもご理解いただけるような形の説明がちゃんとできているか、内容を確認しています。」

Q. 議案構成の整理はどのようにされているのでしょうか?

國吉氏Governance Cloudで議案を並べ替えることができるので、事務局では重要なことから議論ができるようにしています。また、同じような内容のものはなるべくまとめておくなど事前に準備します。当日の運営がスムーズな流れになることを意識して運営しています。
事務局は3、4名体制で行っており、他の業務を兼任しながら行っていますので、時間が限られています。事業部発の議案を中心に案件もかなり多いので事前準備は大切です。
取締役会では経営上重要な議論を行いますので、取りこぼしがないように事前に確認をしていますが、議案作成に慣れている人、慣れていない人で、内容に差が出やすいので、その点も含めフォローは時間をかけています。」

Q. 年間のどのような議題を取り扱うか、特にホールディングスと事業会社のどちらで審議するかは、事務局がリードをしているのでしょうか?議論するのは取締役会なのか、社内の会議なのか切り分けはどのようにされていますか?

國吉氏役員の方々から議論したいテーマをいただくこともあり、四半期ごとに事務局で議題を決めるようにしています。

花谷氏ホールディングス化当初は、それまでとあまり変わらない決議事項の基準で上程していました。ただあまりにも数が多すぎるのと、細かい話を取締役会で議論する必要があるのかというところもあり、徐々に優先順位、重要度というところで、ホールディングスと事業会社で議題を切り分けしていっています。 」

Q.Governance Cloudのご活用状況、お役に立てていることを教えていただけますか?

國吉氏「システムを利用することで、事前の資料共有がスムーズに行えております。スマートフォンでも資料確認できることから、至急お伝えしたい案件がある場合でも取締役に報告、資料の共有ができるので助かっています。また、電子押印を利用することで開催後の議事録作成が効率的にでき、紙の削減だけでなく、完成までの時間削減など、運営事務局の効率化にも役立っています。過去の議題内容をピックアップする際にも、非常にわかりやすくなったなと思います。」

國吉氏過去の議題のピックアップについては、議題一覧よりキーワード検索ができるので、利用しています。Governance Cloudの活用によって様々な効率化を実感していますが、中でも役員の皆様にとって一番の利点は、セキュリティがしっかりしていること、どのような状況でもPC、スマートフォンなど機器を選ばずに皆様の利用しやすい方法で資料を確認していただけることかなと思います。以前は情報共有のためにセキュリティが付いた共有フォルダを使っていました。 また複数のシステムを使っていたので、手順も煩雑でした。以前のシステムは資料の閲覧のみできるものでしたので、議事録の押印ができるシステムを探していたときにGovernance Cloudに出会いました。 取締役会業務を一元的にできることに非常に価値を感じています。」

Q.取締役会の運営の観点で、課題に感じていることがあれば教えていただけますでしょうか?

花谷氏取締役会で議論する内容の見直しは引き続き行う必要があると感じます。規程で取締役会の職務権限となっているものについて、権限委譲を含めて効率良く進めていきたいです。取締役会が企業価値向上や目的達成のための議論により時間を割くことが理想と思っています。以前に比べ、戦略や経営全体に関する意見が増えていて、この流れでより良くできれば良いと思います。 戦略や経営に関する議論を深めるためには、各事業部が取締役会に対する議案の説明力を高めることも重要と思います。」

Q. 事務局を運営される上で、Governance Cloudに改めて何かご要望はありますか?

國吉氏Governance Cloudには、書面決議のやり方や議事録の作成方法等、様々な機能を追加していただきました。今の機能にはとても満足しております。特に書面決議の対応、議事録作成がとても楽になりました
以前は議事録も同意書も、紙面で発行し、署名や捺印をいただいた上でPDFにして保管していましたが、その作業がなくなりました。また、経営上、決議を急ぐ書面決議を実施するとなると、緊急対応で役員全員の同意が必要になります。そういった場合でも、どちらにいらしても内容をしっかり確認していただき、承認していただける状況を作っていただいたこともとても助かっています。」

花谷氏しいて言えば、当社は添付資料が非常に多いので、資料の閲覧機能がさらに充実されると嬉しいです。」

編集後記

本取材を通じて印象的だったのは、不動産という情報の非対称性が大きい業界において、And Doホールディングス様が「透明性」を経営の中核に据えてきた姿勢です。創業当時から一貫して、持っている情報をすべて開示し、お客様自身に選んでもらうという考え方は、不動産業界への信頼を高めたいという強い意志の表れでもあります。その思想はフランチャイズ展開や人材育成、さらには取締役会運営における情報共有のあり方にも通底していました。
複数事業によるリスク分散や慎重な意思決定を重ねて、築かれてきた経営基盤。透明性を重視する姿勢は、ガバナンス強化や持続的成長を支える重要な要素です。
今回の取材では、同社の企業価値向上の根幹にある理念を感じました。
ご要望いただいた、資料閲覧機能の充実も図ってまいります。
花谷様、國吉様、貴重なお話をありがとうございました。

図6